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宮沢浩司氏(東京都環境局都市地球環境部排出量取引担当課長) 「EU ETSでは、すべての事業所に事前に取引可能な排出枠が割当てられます。東京都の場合、事業所は年間の義務量をこえて排出量を削減した場合のみ、その超過削減量を取引することが可能となります。」(写真:アリアンツ) |
ポルトガルと同規模の温室効果ガスを排出する東京都は、排出量削減のために世界で初めて都市レベルでのキャップ・アンド・トレード制度を導入しました。東京都環境局都市地球環境部排出量取引担当課長の宮沢浩司氏は、この制度は、欧州排出権取引市場を参考に、独自の改善を加えた新しいしくみであると言います。
(原文掲載日:2010/05/05)
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宮沢浩司氏(東京都環境局都市地球環境部排出量取引担当課長) 「EU ETSでは、すべての事業所に事前に取引可能な排出枠が割当てられます。東京都の場合、事業所は年間の義務量をこえて排出量を削減した場合のみ、その超過削減量を取引することが可能となります。」(写真:アリアンツ) |
東京都は2002年に、大規模事業所に対して温室効果ガス排出量の自主的な報告と削減目標の設定を求める制度を導入し、エネルギー使用量が原油換算で年間1,500キロリットル以上の都内の事業所に、エネルギー使用に関するデータと排出量削減目標の提出を義務づけました。
しかし、自主的な取組みでCO2排出量を大幅に削減することは極めて困難です。このため、削減を義務化する新たな制度が必要と判断したのです。
最終目標は、2020年に2000年比25%の温室効果ガス削減を達成することです。まず、2010年から2014年の第一計画期間に、工場などの事業所で6%、その他の施設で8%削減することを義務化しています。2015年から2019年の第二計画期間の削減義務率は、17%になる見込みです。
対象となるオフィスビル、大学、病院、企業、工場などの事業所や施設は1,400あります。これらの合計排出量は東京都全体の約20%を占めています。
すでに、東京の交通システムは世界の中でも特に効率化が進んでいます。自動車のエネルギー効率は以前に比べて格段に向上していますし、少子・高齢化にともなって都内の自動車保有台数も減っています。自動車公害は減少しており、今後もこの傾向が続く見通しです。
第一計画期間に削減義務が達成できなかった事業所や施設には、一定の期限内に削減不足量の1.3倍の削減量を調達するよう措置命令を出します。
この措置命令を履行しない場合は、罰金が科されます。また、都知事が不足量を排出量取引で調達し、その費用を違反事業所に請求するほか、事業所の名前も公表します。今では日本企業も企業の社会的責任(CSR)への意識を高めているので、違反すれば大きなダメージとなります。
東京都には2002年以降の詳細なデータが蓄積されていますが、本制度で提出されるすべてのデータには、検証機関による第三者検証が必要です。EU排出量取引制度(EU ETS)の場合、導入当初にはエネルギー使用報告制度がありませんでした。我々は、2002年からのデータの蓄積をもって制度の運用を開始しました。米国でも、同様の報告制度が導入されたのは2010年1月になってからです。
EU ETSの場合、遵守期間が1年のため、事業所はみな削減義務を達成するために、排出量取引の活用が進みやすい制度になっています。東京都の計画期間は5年間です。また、排出量の削減を実現しなければ、取引はできないので、過度に排出量取引に依存しないしくみになっています。
EU ETSでは、すべての事業所に最初の段階で取引可能な排出権が割当てられました。しかし、東京都の場合、事業所は年間の義務量をこえて排出量を削減した場合のみ、排出権を取引することが可能となります。したがって、2010年中の排出権取引はありません。取引が始まるのは2011年4月以降です。
第一計画期間中にオークションはなく、有償で獲得する必要はありません。EU ETSの初期段階と同じです。第二計画期間には排出権のオークションを行うかもしれません。
EU ETSの場合と違い、各事業所は第一計画期間中に得た排出権を保持し、第二計画期間に使うことができます。ただし、他の事業所から排出権を借りることはできません。
高効率な照明、空調、熱源の活用や断熱性能が高く、再生可能エネルギーや地域暖房を利用したエネルギー効率の高い「グリーンビルディング」がいちばんでしょう。すべての事業所が省エネ性能の高い新しい建築物を目指すべきです。
東京都はすでに建築物環境計画書制度を導入しています。床面積1万平方メートル以上の建物を建設する事業者は、事前に計画書を提出しなければなりません。これらの物件では、通常の物件よりもエネルギー効率が20%から30%高いことが求められます。
はい、三つの方法があります。一つは、都内の中小企業が削減した分を購入する「都内中小クレジット」です。二つめは、再生可能エネルギーの環境価値で相殺する「再エネ・クレジット」、三つめは都外の事業所の削減分を購入する「都外クレジット」です。都外クレジットの利用は事業所の削減義務量の3分の1までに制限されています。
非常に重要なことですが、大変むずかしいことでもあります。現在、EU ETSでのCO2排出権の取引価格は1トン当たり約1,500円(約15ドル)です。東京都が公定価格を決定することはありませんが、ひとつの参考値としては、太陽光によるグリーン電力証書の価格がその約10倍程度になっています。
キャップ・アンド・トレードは産業部門、商業部門向けの制度ですが、炭素税は家庭部門向けです。経済状況が非常に厳しい現在、家計に対して新しい税制を導入することは困難です。現時点では、炭素税の導入は未定です。
日本政府が詳細について決める必要がありますが、われわれはこの制度が全国的に広がることを期待しています。東京都がキャップ・アンド・トレード制度の全国導入について提言を行ったのも、そのためです。この提言では、国が発電所や重工業などを含む10万トン超の事業所や施設を対象とする制度を直接運用し、地方自治体は、それ以下の規模の事業所を対象とするしくみを提言しています。来年には政府がなんらかの制度導入の決断を下すのではないでしょうか。
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